子どもの教育費について(後半)

前回の投稿に引き続き、今回も子どもの教育費について見ていきます。
なお、前回の内容では、子ども4人の教育費6,000万円に対して、扶養手当や児童手当、減税効果により、実負担が3,600万円まで減ることがわかりました。

ここから先は、かなり蛇足的な話になるかと思います。税金に少し近い存在、健康保険料を節約するという発想です。
やり方はこうです。親が現役を引退した後、子どもの健康保険で逆に扶養されることで、一部でも教育費の元をとれないかということです。

健康保険の扶養要件には、年収180万円(60歳未満は130万円)というラインがあります。つまり、親であってもこの年収未満であれば、子どもの扶養に入れる可能性があります。
このとき注目すべきは、退職金等の一時的な収入やその取崩しは、この要件に含まれないということです。つまり例えば、退職後にそれまでいた会社を辞め、月15万円程度のパート収入に抑えれば、健康保険上子どもの扶養に入ることができ、自身の健康保険料を払う必要がなくなる可能性が出てくるのです(詳細については、日本年金機構のホームページを参照)。
なお、これには若干の注意点があります。親子で同居している場合は、年収180万円という要件に加えて、親の収入が子どもの収入の1/2未満である必要があるので、子どもの年収は最低でも360万円ないとダメです。別居の場合だとさらに厳しく、親の収入が子どもからの仕送り額より少なくないといけないので、子どもがよほどの高給取りじゃないと無理ですね。

さらなる注意点は、健康保険への強制加入対象が年々拡大されており、子どもの扶養に入る前に、そもそも自身の健康保険へ入らざるを得ない状況が多くなっていることです。詳細は省きますが、雇用される事業所によっては、月9万円程度のパート収入でも、自身の健康保険に入らなければいけない場合があります(政府広報オンライン)。

ちなみに、親が75歳以上になれば有無を言わさず(生活保護に該当しない限りは)後期高齢者医療制度の対象となるので、子どもの扶養に入れるのは、最長でも75歳までの期間です。

前置きがかなり長くなりましたが、さっそく幾ら健康保険料が節約できるのかを計算してみましょう。
そもそもの節約対象となる健康保険料ですが、国民健康保険の保険料とします。定年後の事業所で健康保険の強制加入に該当しなければ、市町村運営の国民健康保険に入ることが一般的だからです。
そして節約額ですが、年収180万円未満というラインをあえて1円オーバーしてしまったときの国民健康保険料とします。
なお、多くの市町村のホームページには、簡単な保険料計算シート等が置いてあります。今回は、横浜市のホームページにおいてあるものを利用して計算します。

年収180万円ちょうどのときの給与所得は1,080,000円ですので、この金額を基に横浜市のシートを使って計算すると、年間の保険料が142,560円と導き出されます。この金額を定年60歳から75歳までの15年間節約できたとすると、142,560円×15年=2,138,400円、およそ200万円となります。
仮に配偶者も健在で、同じような働き方をしているのであれば、節約の効果は2倍でおよそ400万円です。
なお余談ですが、国民健康保険には扶養という概念がないので、専業主婦の妻で収入がゼロであっても(均等割分の)保険料が取られます(実際には、世帯主がまとめて保険料を納付することが一般的ですが)。

ただ、ここまで話をしておいてなんですが、退職後もバリバリ働ける方は、保険料を節約しようとすることでかえって自身の収入を減らすことになるので、180万円のラインを気にせず働いた方が良いと思います。
(私はおそらくそこまでの気力がないと思うので、ほどほどに働きたいです)

さて、ここまで来たら蛇足も蛇足で、全く役に立ちませんが、親を扶養に入れた場合の子どもの減税効果まで見てみたいと思います。税法上の扶養ラインは、180万円ではなく103万円です。ここで先にオチを言ってしまうと、親の収入を税法上の扶養ラインまで抑えることは確実に損です。なぜなら、子どもの減税効果が毎年77万円(180万円ー103万円)を超えることはないからです。

念のため計算してみましょう。
まずは所得税から。就職しても若い間はせいぜい所得税率5%だと思いますので、これを扶養控除額が最も高くなる70歳以上かつ同居の場合に当てはめても58万円、減税効果は2.9万円です。
住民税を見てみても、70歳以上かつ同居の場合で当てはめて45万円× 住民税率10%で4.5万円です。
両親を共に扶養に入れたとしても、所得税と住民税を合わせた減税効果は14.8万円です。つまり、退職しても年収180万円分くらいは働けということですかね。

前回と今回で、子どもの教育費というお金の面だけをドライに書いてきました。
本当は子どもの教育論その他、精神的な内容も書きたかったところですが、それはまた別の機会に回したいと思います。