外貨建て保険について

以前妹に、外貨建て保険が得かどうか尋ねられたことがあります。
特定の商品について言及することは避けますが、妹から提供された資料によれば、それは20年程度の払込期間のある外貨建ての養老保険で、毎年1%程度の利回りを約束したものでした(あくまで外貨ベースですが)。つまり契約から20年程度経った後であれば、仮に1ドル120円から1ドル100円へと円高に振れたとしても、損をしないということです。なお、養老保険というのは掛捨てではなく、死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えた保険のことです。
(ここまでの話は、かなり簡単化した内容です。厳密に言えば、毎月掛金を払う段階でも為替は動きますので、その効果も考えなければいけません。)

その時の私の回答は、「日本の低金利に比べれば、利回りが高いことが期待できるかもしれない。ただ、数十年先の為替相場なんて誰にも予測できない。その大きなリスクを負ってまで入るべき保険なのかははっきりと言えない。やるとしたら本当に余裕資金でやるべきで、額も大きくやるべきではない。円建てで備えられるものを備えた後か、もしくはやるとしても金融資産全体の10%程度に留めるべきだと思う。」というものでした。

円建ての個人年金だと、毎年の利回りは良くて0.5%がせいぜいだと思います。そのため、外貨建て保険の提供する1%程度の利回りは非常に魅力的に映ります。しかし、外貨建て保険には多くの落とし穴があります(詳しい中身については「お金のプロが『外貨建て貯蓄型保険』を勧めない3つの理由」が大変参考になります)。

そして私は、その落とし穴の最たるものが上で紹介した「数十年先の為替相場なんて誰にも予測できない」というものに尽きると考えています。
例えば直近では、新型コロナウイルスの影響で、2月20日に1ドル112円程度あったものが3月9日には一時的に1ドル101円まで大きく円高に振れています。1月もしない間に10円以上触れる為替、誰が数十年先まで見通せるでしょうか。
さらにリーマンショックの時には、最大で1ドル75円代まで円高に振れています。実はこの時期、私は怖いもの知らずでFXをやっていました。リーマンショック前はこつこつFXで毎月数万円程度の利益を上げていました。しかしリーマンショックであっという間にそれまでの利益が吹っ飛び、慌てて取り返そうとして注ぎ込んだ追加の資金も全て吹っ飛びました。損失額はここでは言えませんが、その時の苦い経験から私の外貨嫌いは始まっています。
また歴史的に見ても、為替は戦後の1ドル360円から1971年のスミソニアン協定で308円へ円高に誘導されています。30年もしないで50円近くも円高になっているのです。こうしたことを踏まえれば、1%の利回りで保険契約者が為替の変動リスクを全て負うのは、非常に割に合わないことがわかると思います。20円程度の為替差なんて十分に超え得るのです。

ただ最終的には、リスクの捉え方や何を一番の問題と考えるかは、人それぞれだと思っています。私にとっては、保険に回した資金が元本割れすることがリスクだと考えています。老後に贅沢する気などなく、細く生きていくつもりの私には、ある程度の備えがあれば十分です。
しかし人によっては、老後の十分な資金を備えられないことが一番の問題と捉えているかもしれません。そうした人にとっては、元本割れする危険を選んででも、老後の資金を増やすことがある意味合理的かもしれません。極端な話、0.5%の利回りでは100%確実に貧困に陥ってしまう人は、一か八かでリスクが大きくもリターンの高い金融商品に手を出し、生きながらえる可能性を数%でも獲得することがプラスです。

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