ライフプランニングその4(学資保険を利用した貯蓄)

前回、老後のより余裕のある生活のため、個人年金の積増しよりも貯蓄が有利という話をしました。そこで今回は、具体的にどう貯蓄したら良いのかを探りたいと思います。

結論から言うと、保険を利用して貯蓄をします。貯蓄なのに結局保険なの?一見すると混乱するかと思いますが、カラクリはこうです。子どものための学資保険を使って、自分のための貯蓄をするのです。

私自身、子どもが4人います。そして子ども達のために学資保険に入っています。最近の学資保険の利回りは1%ないと思いますが、私が加入した当時の学資保険は利回りが1%ありました。これは当時自身のために加入した個人年金とほぼ同様の利率でした。
個人年金の受取りは20~30年後、一方の学資保険の受取りは10~20年後、だけど利回りはほとんど同じ。これはどちらが有利かわかりますね。30年後の未来より、10年後の未来の方が予測が立てやすいと思います。

学資保険と名のついた保険商品でも、最終的な用途は教育資金に限定されません。よって、個人年金よりも近い未来に受け取れる子どもの学資保険を必要以上に上乗せして、それを自身の老後資金に使っても良いのです。つまり、学資保険を使って自身のための積み立てをし、子どもの教育資金に消費しなかった余剰分を自身の貯蓄額としてスライドさせるのです。こうすることで、通常の預金よりも高い利回りが期待でき、さらに保険料控除も利用した上で貯蓄ができます。

但し、学資保険にも、二つ注意点があります。

まず一つ目は、もちろん利回りです。学資保険には特約のついているものが多く、例えば保険の契約者である親に万一のことがあった場合に、その後の保険料が免除されるものがあります。考え方は人それぞれですが、こういった特約の存在ゆえに利回りが低く抑えられていることもあり、契約によっては元本割れしますので、自分の希望にあった保険なのかどうかを理解した上で入る必要があります。
ちなみに私は、自身の健康状態に自身があったので、そういった特約なしで高い利回りを取りました。30年後の生死はわからなくても、保険料払込期間の10年くらいは生き残れるとふんだのです。

利回りに関連して余談ですが、保険ではよく「返戻率」という言葉を使います。「利回り」や「利率」とは違います。返戻率とは、自分が払い込んだ保険料に対する保険の受取総額のことです。例えば、保険料総額100万円に対して受取総額が120万円なら返戻率120%です。120%というと一見有利な契約に見えますが、極端な話、例えばこれが80年後に120万円を受け取る保険だとすると、20%/80年=0.25%となります。80年間お金を寝かせる対価としては、私は安すぎると感じてしまいます。80年の間に金利が上がる可能性は十分にありますし、もっと有利な金融商品が開発される可能性もあるでしょう。

私の知り合いに保険業界に勤めている者もいますが、そういった連中に私は、「返戻率で物をいうのはおかしい、実際に損得勘定するには1年あたりの利回りに直さなきゃできないはずだ」とよく言います。返戻率という言葉には、時間の概念が全く抜けてしまっているのです。保険の契約をする際は、返戻率という言葉に気を付けてください。

一つ目の話が長くなりましたが、二つ目は満期の受取り方と受取りのタイミングです。これは節税の話と直結します。

学資保険には、大きく2つの受取り方があります。一つは、子どもが大学入学する直前に一括で受け取る方法。もう一つは、数年分に分割して年金のように受け取る方法。税制上、先の方法は一時所得、後の方法は雑所得となります。

どちらの受取り方が税制上有利か、一般的には一時所得とした方が有利と言えます。

一時所得の説明については、当然国税庁のホームページが詳しいですが、一時所得には最高50万円の特別控除があるので、50万円までは実質非課税となります。例えば払い込んだ保険料が160万円で、一時所得として受け取る保険金総額が200万円なら、所得税は0円となります。
これを仮に雑所得として4年間受け取るタイプであれば、毎年10万円に対して所得税がかかります。雑所得は、私のようなサラリーマンであれば給与所得と合算して課税されますので、所得税率の高い人の方が当然負担は大きくなります。そして所得税は累進課税ですので、保険の受取りを雑所得にしたがために税率が上がり、給与所得にかかる税金まで増えてしまうこともあり得ます。

以上のとおり、税制上は一時所得にした方が一般的に有利ですが、年金のように受け取るタイプは、その分保険会社が運用できる期間も長くなるので、利回りがその分大きくなることもあります。保険会社の提供する利回りが十分に魅力的であれば雑所得タイプ、そうでなければ一時所得で非課税所得とするのが無難かと思います。

次に受取りのタイミングについてです。前の説明で、一時所得が税制上有利と紹介しました。これは最高50万円の特別控除が使えるからです。逆に言えば、50万円の特別控除以上に保険契約を結べば、余計に税金を払うことになります。私のように子どもが多い家計だけでなく、子どもが一人の場合でも、受取り時期が集中すれば50万円を超える可能性が出てきます。

仮に子どもが3人の例で説明すると、第1子の大学入学、第2子の高校入学、第3子の中学入学の時期が被っていたとして、それに応じて保険によりそれぞれ50万円、30万円、20万円の一時所得が発生するとしましょう。これらが毎年ズレて発生したなら課税額は0円でしたが、同じ年に発生したなら特別控除があっても50万円はみ出てしまいます(厳密に言うと、一時所得は課税額をさらに半分にするので25万円に対して課税されることになります)。

私の場合は子どもが4人いるので、油断していると受取りが集中してしまうことは十分に起こります。
そこで私は、子どもの年齢が17歳で受け取れる保険と18歳で受け取れる保険とに分けたり、大学入学前に一括で受け取れるものと、中学入学と高校入学のタイミングで祝い金が出るものに分けたりと、1年で多額の金額が集中しないよう、保険契約を分散させています。
なお、課税は年度でなく暦年でされるので、こちらも注意が必要です。

以上が、学資保険を使った貯蓄の仕方と注意点でした。
なお、今回までで老後の備えの話については一応完結しましたので、次回からは別の話題で話をします。