ライフプランニングその3(余裕のある生活のために)

「ライフプランニングその2」までで、老後の生活資金として公的年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)について見てきました。そこでは、公的年金とiDeCoだけで平均寿命までの十分な生活資金を用意ができないことがわかりました。
今回は、公的年金とiDeCoに続く、第3番目の方法を探ります。

今回紹介するのは、iDeCoよりメジャーな方法、保険会社の保険に入ることです。最後の最後に当たり前の方法を持ってきました。

先の投稿の私の例(毎月1万円の確定拠出)を続けます。そこでは、71歳までの備えはできても、平均寿命を全うするには、あと10年分足りないことがわかりました。そこで、10年分の差額、4万円×12月×10年=4,800,000円を、保険会社の保険で用意します(妻のことを考えるとあと6年分追加で必要ですが、話を単純にするため省略します)。

35歳から保険に加入して定年60歳まで25年間保険料を払い込むタイプの保険を仮定します。すると4,800,000円/25年=192,000円、1月あたり16,000円です。
なお、ここでは話を単純にするため利率を無視し、さらに外貨建てや変額の保険ではなく、受取り額が契約によって保障されているタイプとします。
これは、リスクを嫌う私の性格が一番の理由で、将来の受取額を20~30年以上先の円ドル相場等に頼ることが非常に危険と考えるためです。

最後に一点、年額192,000円の保険料を、一つの保険契約でなく、二種の保険契約で分けて用意することがポイントとなります。

(国税庁のホームページより引用)

皆さんご存知のとおり、保険会社の保険には、年末調整に使えるものが多くあります。そして上の図のとおり、所得控除(各種保険料控除)には、保険の種類によって上限額が決まっています(先に紹介したiDeCoは掛金の全額が所得控除として認められていたので、それとは対象的です)。

保険の種類を一種類としてしまうと、すぐに控除の上限額に到達してしまうので、保険契約を生命保険料控除と個人年金保険料控除が使えるものとにうまく分けることで、より有効に各種の保険料控除が使えるようになるのです。

ここまでの話で、一応平均寿命までのおおよその備えができたことになります。ここからは、より突っ込んだ話をしていきたいと思います。おおよその備えができたならば、より余裕のある生活をするためには、どういった方法で資金を用意していくのか、です。

ここで少し話は脱線しますが、過去に私もファイナンシャルプランナー(FP)による無料のライフプランニング相談に行ったことがあります。そのときのFPは、不足額をどういった保険で備えれば良いのかを教えてくれたのですが、どういった方法がより税金対策上有利なのか等は教えてくれませんでした。

無料相談なので当然と言えば当然なのかもしれませんが、ケチな性格の私としては、それでは消化不良でした。そこで社労士(仮)として、またFP系の知識も総動員して、税金その他余計なものを1円でも払わないようにするにはどうしたら良いのか、考えていきます。

これまでの話で、老後1月あたりの支出額、約265,000円を用意するよう話を組んできました。それでは、より余裕のある生活を送るため、これまでの例以上に老後の年金を積んでおくべきなのでしょうか。
結論から言うと、答えはノーです。

老後に支払われる年金は、全て収入とみなされます。つまり、それらには全て税金がかかります。
そして、税金より痛い話があります。それは、現役世代より老後においてよりお世話になるはずの介護保険、(国民)健康保険や後期高齢者医療制度です。
実はこれらの制度は、年収によって負担率が変わるよう制度設計されています。

例示すると、70歳以上の(国民)健康保険や、75歳から加入する後期高齢者医療制度は、年収520万円以上(高齢者が2人いる場合)だと、負担率が3割となります。一方で年収520万円未満であれば、(国民)健康保険は2割、後期高齢者医療制度は1割となります。
介護保険はもっと複雑なのですが、ざっくり言うと年収346万円以上(高齢者が2人いる場合)だと負担率が2~3割、年収346万円未満であれば負担率は1割となります。

年収346万円を月あたりに直すと28.8万円です。老後1月あたりの支出額、約265,000円と2万円程しか開きがありません。安易に年金を積もうとすると、自己負担だけが大きくなるという結果になります。

そこで私は、現役世代で貯蓄をし、老後に取り崩すという方法を勧めます。当たり前すぎる方法なのですが、現状の税制度では、貯蓄の取り崩しに対して課税されないので、実はこの方法は有益です。
収入として課税されることもなく、介護保険等の年収要件にもひっかからない、それなのに老後の備えは年金と同じようにできる、まさに節税・医療費節約・備えの一石三鳥です。

なお、これまでの話は、あくまで現状での健康保険制度や税制度が前提となりますので、負担率の境目となる年収額が減額されたり、貯蓄の取り崩しに対して課税されるようになると、話が180℃変わりますのでご注意ください。

現役世代にどういった方法で貯蓄するか、これもなかなか奥深いテーマだと思いますので、これは次回の投稿で探っていきたいと思います。