ライフプランニングその1(国民年金・厚生年金)

社労士(仮)を名乗っていますので、まずはライフプランニングから書きたいと思います。
ちなみに私は、社労士以外にもファイナンシャル・プランニング技能検定1級に合格しているので、今後そちらの分野とも絡めた内容で書ければと思っています。

はじめに、ライフプランニングとは生涯生活設計のことです。今回はその中でも、老後に焦点を当てていきます。老後の収支を考える上で最も重要なのは、自身の公的年金が一体幾らもらえるのか、だと思います。また社労士と聞いて真っ先に思い浮かぶのも、年金関係の専門家というイメージかと思いますので、まず公的年金の話から始めます。

(サラリーマンである私が一番オーソドックスな例かと思いますので、以降では私を例に話をしていきます。)

サラリーマンが老後65歳からもらえる年金は、国民年金と厚生年金の二階建てです。

まず一階建てである国民年金は、20歳から加入して最長40年間加入できます。40年間加入の満額で毎年780,900円もらえます。厳密に言うと、毎年物価等の調整が入るのですが、そう大きく変動しないので、詳細は省きます。

次に、二階建ての厚生年金です。国民年金とは違い、定額780,900円で計算できないので、若干厄介です。

もらえる厚生年金の額は、平均標準報酬月額に5.481/1,000をかけて、さらに加入月数をかけたものです。
標準報酬月額とは、ざっくり言えば手当て等を含めた毎月の給料額のことです。そして平均標準報酬月額というのは、加入期間全体を平均した標準報酬月額のことです。例えば、若いときは24万円、退職時には60万円、期間で加重平均して50万円、といった具合です。

今回の計算では、将来的に出世できたら良いなという希望も込めて、平均標準報酬月額を50万円とします。私が社会人になったのが25歳のときだったので、定年60歳として加入期間35年で計算します。

すると、50万円×5.481/1,000×35年×12月=1,151,010円
月額にすると約95,000円です。

ちなみに先ほどの国民年金780,900円と合わせると、私自身の年金額は年1,931,910円です。なお、私の妻は専業主婦なので、妻の分の国民年金780,900円をさらに加えると、家計全体としては2,712,810円、月額にすると226,067円となります。
どうでしょう。けっこう手堅い金額ではないでしょうか。この金額で暮らせないことはない、でも余裕があるかと言うと、決してそんなことはない金額だと思います。

なお、ここまでの話は、現時点での法令等に則った計算ですので、今後法令等が変わると話が違ってきます。計算に使った「5.481/1,000」という値は歴史的に下がってきましたし、支給開始年齢も以前は60歳でした。
私としては、支給開始年齢が65歳より遅れることも、支給額が減ることも望んでいないのですが、今後どうなるでしょうね・・・。

公的年金について少し不安がよぎったところで、一つ蛇足の話をしましょう。公的年金ってそもそも得なのか、という疑問です。
結論から言うと、条件付きで得です。

まずは国民年金から。先ほど国民年金は満額で毎年780,900円もらえるという話をしました。国民年金の保険料は、サラリーマンだと厚生年金の保険料と合わせて天引きされている形ですが、自営業者等は毎月17,000円納める形になります。これが40年間だと、17,000円×12月×40年=8,160,000円です。よって、10年ちょっと受け取れば元が取れる計算です。男性の平均寿命が81.09歳、女性の平均寿命が87.26歳(厚生労働省 平成29年「簡易生命表」より)ですので、65歳の支給開始年齢の下では得です。しかしながら、もし仮に支給開始年齢が70歳まで遅れると、男性は平均的に損をする計算ですね。

では厚生年金ではどうでしょう。先ほどの平均標準報酬月額50万円の例で計算してみましょう。厚生年金の保険料率は18.3%で、労働者と事業主が折半していますので、労働者としては9.15%の保険料率です。これを当てはめると、50万円×9.15%×12月×35年=19,215,000円です。サラリーマンは厚生年金の保険料から国民年金の原資も拠出されるので、先ほど計算した私自身の国民年金と厚生年金の合算額である年額1,931,910円と比較します(正確に言うと、先ほどの例では国民年金と厚生年金の加入時期に5年の差がありますが、数年の誤差なので無視します)。すると、約10年で元が取れることがわかります。

以上の結果から、現状の年金制度が大きく変わらなければ、国民年金も厚生年金もおよそ10年で元が取れることがわかりました。よって、制度的な不安が多少あっても、公的年金に加入することには合理性があることがわかります。

そしてもう一つ、公的年金に加入すべき合理的な理由があります。それは、国民年金も厚生年金も、年々の物価に応じて年金額が調整されるという制度的な特徴を持っていることです(細かい説明は省きます)。

その一方で、民間の一般的な個人年金は、年金として受け取る額が名目額で決まっています。例えば、10年後から10年間、毎年100万円ずつ計1,000万円を受け取るといった具合です。日本でハイパーインフレが発生する可能性は低いでしょうが、もし仮に物価が2倍になったとすれば、この個人年金の価値は1,000万円から500万円に大きく下がります。老後の金融資産の価値が半分になるというのは、現役世代よりはるかに命取りです。

それに対し、国民年金も厚生年金も物価に応じて年金額が調整される(物価が2倍になれば、年金額も2倍になる)ので、インフレが発生しても実質的な年金の価値は変わりません。老後の家計の大半を公的年金に依存するというのは、合理的な理由があるのです。

後半は蛇足でしたが、次回の投稿では、月額226,067円という年金額が生活する上で十分なのか、そうでなければ、公的年金以外でどう備えたら良いのか、を見ていきたいと思います。

※なお、今回紹介した国民年金や厚生年金の受給計算について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。