ポケットの中の戦争(その2)

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前回は「ポケットの中の戦争」の概要と担当声優さんの紹介をしました。今回はネタバレしない程度に、作品の魅力その他をもう少し掘り下げたいと思います。

この作品の一番の特徴は、主人公のアルが地球連邦軍にもジオン軍にも属していない民間人、コロニーに住む少年だということです。つまり必ずしも地球連邦軍が正義でジオン軍が悪、ではない、中立的な立場というのがアルの立ち位置です。

話は一旦逸れますが、私はMSイグルーという作品も面白くて好きです。

http://www.msigloo.net/index.htmlより


こちらの作品は中立ではなく、主人公がジオン軍に属していますので、完全にジオン軍側の視点で物語が進んでいきます。そのため(?)、地球連邦軍がチンピラの寄せ集めのように描かれていて、ファーストガンダムを観ていた方々はなかなか衝撃を受けるかと思います(笑)。
チンピラの地球連邦軍も面白いのですが、それを抜きにして、ジオン軍のプロフェッショナル達の格好良い姿を描いた作品なので、ガンダム好きであればこちらも是非チェックして欲しいです。

それでは話をポケットの戦争に戻します。
この作品の魅力は、アルが中立的であるが故に、地球連邦軍に属する人々もジオン軍に属する人々も、ステレオタイプの善人や悪人ではなく、非常に丁寧に描かれていることだと思います。

地球連邦軍側のメインであるクリスは、アルにとっては優しい近所のお姉さんです。しかしアレックスのテストパイロットという立場から、アレックスを奪取しに来たバーニィを始めとするサイクロプス隊は排除すべき敵です。
一方ジオン軍側のメインであるバーニィも、アルにとっては優しいお兄さん役です。そしてクリスともお近づきになりますが、まさか自分達が狙っているアレックスのテストパイロットとは知りません。
またバーニィの上司や先輩であるサイクロプス隊の面々も、戦争のプロで一見怖そうでありながら、実は年少者のバーニィを大切に想っているもの凄く良い人達なんです。

こうした丁寧な描写があるからこそ、どちらが正義も悪もない、戦争の虚しさだけが際立つ作品に仕上がっているのかなぁと思います。

さらに、子ども目線で描かれているというのも大きな特徴かと思います。
バーニィと出会うまでは、むしろ(モビルスーツ見たさに)戦争が起きることを喜ぶような無邪気な少年アルでしたが、物語のラストでは、戦争終結に触れた校長先生のスピーチに思わず涙を流すように、人として一回りも二回りも大きく成長します。無邪気な子どもが戦争という現実を目の当たりにしてどう変わるのか、そういった側面からも深く考えさせられます(かくいう私は戦争体験者ではないのですが…)。
子どもに観せる年齢はこれから考えますが、教育的にも一度は観せたいなと思っています。

(「その3」へ続く)

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